インテリア トレンドレポート

Vol.3 東京、上海で活躍する建築家、
昭和住宅がオフィスの理由

小大設計事務所と書いて小大は「こお」と読む、小嶋伸也さん、綾香さんが主宰する設計事務所です。東京と上海に事務所を持ち、ホテルやオフィス、リノベーションなどグローバルに活躍を広げています。東京の事務所は尋ねてみると意外なことに、東京・自由が丘の住宅街にある民家でした。

レポート:本間美紀/ライフスタイルジャーナリスト


小大設計事務所のオフィスは、昭和の雰囲気漂う民家を借り受けて、リノベーションしています。庭を過ぎ、暖簾のかかったドアが入り口。入ると畳の間に通されます。昔ながらの懐かしい日本の家が、多くの依頼主を迎えてきました。このオフィス兼コミュニケーションスペースを「一畳十間(いちじょうとおま)」と名づけ、自らのリノベーションブランドのインスピレーションスペースとしています。

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伸也さんと綾香さんは隈研吾事務所勤務時代に出会いました。世界的にも大規模な事務所から一転し、自分たちが事務所を持つ時は、余白のある空間を持ちたいと考えていたそうで、それが今回の畳の間につながりました。

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「パソコンに向かう仕事はリモートでどこでもできる自体、オフィスで大切なのは、コミュニケーションスペースだと思っています。事務所にいながら、外から違う刺激が入ってくることがチームにとって大切です」と小嶋さん。そのため、この畳の間は時にギャラリー、イベントスペースとして活用しています。2ヶ月に1回ほど、職人を招いての実演を行なっています。お茶の会も開いています。

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畳敷きの床畳や聚楽壁は職人の手業を生かして仕上げていますが、これがそのまま依頼主への素材感の説明に活用し、そこから醸し出す空気感を感じてもらえます。写真はgallery一畳十間をギャラリーとして使用している様子で、陶芸家山田翔太さんによるお茶会です。