インテリア トレンドレポート

Vol.1 キーワードはアート、
イタリアブランド家具の競演

カッシーナも本国と連動した発信へ

日本に定着した有名イタリアブランドも家具をアートと位置付ける。カッシーナ・イクスシー青山本店(東京港区)は2023年10月、店内の1、2階(約1050 平方メートル)をカッシーナ(cassina)のミラノフラッグシップストアと同じコンセプトで大改装に踏み切った。アートディレクターのパトリシア・ウルキオラ氏の手で、カッシーナの過去の名作と新作をつなぐ「カッシーナパースペクティブ」というコンセプトが披露された。

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アントニオ・チッテリオによる新作『エゾソフト』を大胆な色で展示(カッシーナ・イクスシー青山本店)

店内はテラコッタやネイビーなど斬新なカラーパレットで彩られ、これまでのストアイメージを一新。長年のファンを驚かせた。社長のアレッシオ・ジャコメル氏は、この新店舗を「展示通りに買うだけではなく、時代を超えたデザインを自分の価値観に合わせて選ぶ、総合芸術としての購買体験を用意している」と話す。

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50年続く『イ・マエストリシリーズ』はカッシーナの文化資産とも言える家具シリーズ

イタリア家具ブランドは、単に名前や実績を誇示するのではなく、イタリア本国の創造的な刺激を伝えるコミュニケーションを重視している。日本の家具業界では、作り手も消費者も知られた名前やなじみのあるものに頼りがちであるが、これらのイタリア家具ブランドの動きは、そうした意識に変革の石を投じている。

レポート:本間美紀/ライフスタイルジャーナリスト

インテリアの専門誌「室内」編集部を経て、独立。家具、インテリア、デザイン、住まい、キッチンなどの取材執筆、セミナーなどを手掛ける。ドイツ、イタリアなど海外取材も多数。著書に「リアルキッチン&インテリア」「リアルリビング&インテリア」「人生を変えるインテリアキッチン」(小学館)など。