デザイナーに聞く、これからのオフィス考
Vol.2 新ストアのロフトがオフィス?
寺田尚樹さんを訪ねて
寺田尚樹さんは多彩な才能を持つ建築家であり、デザイナーだ。インテリアデザインや家具のデザインはもちろん「テラダモケイ」などの新事業を創出。そしてオフィス家具の販売や空間提案を手がける会社インターオフィスの 代表であり、2024年2月には自身のデザイン哲学を表現したような新ストアまでオープンしてしまった。そんな寺田さんのオフィス考を伺った。
レポート:本間美紀/ライフスタイルジャーナリスト
オフィスには2つのモードがある
寺田尚樹さんの話は、インターオフィスが東京・外苑前にオープンしたショップ「MAARKETトーキョー(マーケットトーキョー)」で始まった。実は店内の中には、オフリミットのロフトスペースがあり、そこも寺田さんのオフィスの一つなのだという。
「オフィスには2つのモードがあると思うんですよ。空間というより、思考の状態というのかな。一つはプライベートモード。自分の内面に集中していく時間。文章を書いたり、デザインをまとめる。自分の中の考えを形にしていく状態です。もう一つはパブリックモード。ミーティングしたり、リサーチに出たり、会食をしたり他の人と情報や意見を交換したり、発表したりするシーンですね」
「プライベートモードは場所や時間を選ばない」と寺田さん。
「車の運転中や公園で散歩している時、シャワーを浴びている時、ひらめきが急に降ってくる。生活の中にあるんですね」。
一方で、パブリックモードはやはり人と集まれる場所であることが必要だという。
「その時も自分のオフィスに招いてホームの状態で話すか、無機質でノイズのないアノニマスな場所に集合するか、相手のオフィスというアウェイの中で話すか。それによっても、出てくるアイディアや話の落とし所が変わってくると感じますね」と寺田さんは仕事の場所と発想の関係を分析する。