デザイナーに聞く、これからのオフィス考
Vol.2 新ストアのロフトがオフィス?
寺田尚樹さんを訪ねて
ショップ内に隠された寺田さんのオフィスとは?
早速、ストア内のロフトスペースに案内してもらった。店内には階段で導かれるロフトスペースがあり、そこにリビングのようなミーティングスペースがある(21平方メートル)。空間はもちろん寺田さんのデザイン。ヴィトラの3600×1100mmのミーティングテーブルに、壁際には造り付けのベンチ。ゆうに10人は座れそうな空間は「座る人数を限らないし、何よりくつろいでもらえる」。寺田さん流に言えばここは「寺田さんのホーム」だ。
来客からは見えないが、ここからは名作デザインに満たされたショップを見下ろすことができる。ふと聞こえた会話がビジネスのヒントになることもある。
チェアはキャスター付きの機能的なオフィスチェア、、かと思いきや、寺田さんが選んだのはノル社の「チェスカチェア」だ。マルセル・ブロイヤーのデザインによる籐編みの椅子で、バウハウス時代に誕生した。
カンチレバー構造によるスチールパイプのしなりが、体に心地よいという。「機能的だけど、ダイニング空間的なおもてなし感もある。無機質になりがちなオフィス空間に、自然素材の温かみも与える。僕にとって最も理想的なチェアの一つ」と寺田さんが勧める椅子だ。
中央にはスイスのUSMハラー社の収納とモニターがあり、画像を見ながらの会議もできる。
そして寺田さんらしいのがワインセラー用キャビネットだ。グラス用の引き出しがあり、ワインセラーを収めているが、ワークスペースに自然に馴染んでいる。
イタリアでの仕事も多い寺田さん、親しい人との打ち合わせは夕方からワインを開けて、アペリティーボ(夕飯の前の軽い一杯)を楽しみながら、話すこともある。リラックスした参加者から柔軟なアイディアが飛び出すという。